銀色の涙 -プロローグ-

子供のころ読んだ絵本が未だに忘れられない。

それは、その国一番の美しいお姫様がとある舞踏会の夜に心優しい隣国の王子と出会い、一目で恋に落ちるというありがちなストーリー。
お姫様は綺麗な金色の髪にたくさんの鮮やかな花を挿し、きらきらと輝くピンクのドレスを着て、湖のそばで王子と仲良く踊り続ける……。

大した起伏もない話なのに、子供のころは本がよれるほど何度も何度も読み返した。
いつか自分も、このお姫様みたいな可愛いドレスを着て王子と二人で踊ってみたい――……そんな可愛い憧れを抱いたものだ。

……まったく、今思えばバカバカしい通り越して悲しくなってくるっつーの。
あたしにぴったりな役はお姫様じゃなく、せいぜい王子が乗っかってる馬あたりだってのに。
昔の自分は現実を知らない幸せな子供だった。

……もう二度と、あんな幸せな夢をみることはないんだろうな。

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